かゆみや抜け毛の原因は脂漏性皮膚炎?AGAとの関連
「最近抜け毛が増えてきて、頭皮にフケやかゆみが出るようになった」このように抜け毛が増えるようになるとAGAを疑う人は多いかもしれませんが、頭皮にフケやかゆみを感じるようでしたらそれはAGAではなく、脂漏性皮膚炎による脱毛症かもしれません。
乱れた生活習慣による病気なので再発することが多くなっていますが、正しい治療を行うことで完治することが可能です。
この記事では頭皮のかゆみ、脂漏性皮膚炎についての説明、対策、治療方法を解説していきます。
生活習慣を見直すことで予防することも十分可能なので、抜け毛はないけど頭皮がべたつく、フケが多い、などの症状がある方も参考にしてみてください。
頭皮がかゆくなる原因
頭皮がかゆくなる原因は大きく分けると3つあります。
かゆみが起きているということは何かしらの異変が起こっているので、まずは自分の症状に当てはまっているものを探しましょう。
ストレスによるかゆみ
実はストレスによって頭皮がかゆみを感じることがあります。
ストレスで皮脂分泌が過剰になったり、「ヒスタミン」と呼ばれるかゆみを起こす物質の分泌が増えることが原因とされています。
頭皮の乾燥からくるかゆみ
人間の皮膚は外部の刺激から身体を守るため適度に皮脂を分泌しています。
何らかの原因で頭皮が乾燥すると、頭皮のバリア機能が弱まりかゆみを感じるようになります。
自分の頭皮を触ってみてあまりにも乾燥していると感じる方は頭皮の乾燥によるかゆみが原因かもしれません。
皮脂の過剰分泌によるかゆみ
前述した乾燥からくるかゆみとは真逆で、皮脂分泌が過剰になることでかゆみが起こることも。
頭皮から皮脂が分泌されると、マラセチア菌と呼ばれる常在菌によって分解されます。分解された皮脂は皮脂膜となり頭皮や髪の毛のつやを保つ役割を果たします。
しかし皮脂の分泌が増えすぎると、それに伴って常在菌が増えすぎ、炎症を起こしてかゆみの原因になることがあります。
そして皮脂の過剰分泌が起こることでこれから説明する脂漏性皮膚炎が起こる可能性があるのです。
AGAと脂漏性皮膚炎の関連
抜け毛や薄毛が進行してくると、まずはAGAを疑う方が多いでしょう。
しかし抜け毛や薄毛と共にフケや頭皮にかゆみを感じることがあれば、それはAGAではなく脂漏性皮膚炎かもしれません。
まずはAGAと脂漏性皮膚炎の関連性や違いを見ていきます。
AGAは遺伝的な理由が大半であるのに対し、脂漏性皮膚炎は皮脂の過剰分泌によって発生します。
よく「脂漏性皮膚炎が起こるとAGAも起こりやすくなるの?」という疑問を聞くことがありますが、脂漏性皮膚炎がAGAを併発させることはほとんどありません。
ただしAGAを発症している方が同時に脂漏性皮膚炎を発症することもあります。
その場合薄毛や抜け毛がより進行していくことがあるので、いち早く脂漏性皮膚炎を治してください。
とにかくAGAと脂漏性皮膚炎は全く別物なのでまずは自分の症状を把握し、正しい治療を行うことが必要です。
脂漏性皮膚炎とは
脂漏性皮膚炎は頭皮がかさつき、かゆみやフケが出て頭皮全体が赤みを帯びることが特徴です。
頭だけでなく皮脂の分泌量が多い顔や背中に発症することもあります。
脂漏性皮膚炎によって頭皮環境が悪くなり、脱毛が起こる症状を脂漏性脱毛症と呼びます。
脂漏性皮膚炎ができやすい年齢や性別
女性より男性に多く、生後2週~12週、思春期以降~40歳くらいまでが発症のピークです。
乳児型の場合は細菌感染などが無ければ、通常生後8か月~12ヶ月くらいで自然に治ります。しかし成人型であると慢性的であり、再発性もあるのですぐに治療を受ける必要があります。
脂漏性皮膚炎の原因
脂漏性皮膚炎は頭皮の皮脂が増えすぎることで毛穴がふさがり、毛穴の内部でマラセチア菌と呼ばれる雑菌が繁殖することによって毛根に炎症が起こります。
マラセチア菌は本来悪い菌ではなく、常に頭皮に存在して頭皮から分泌される皮脂を分解してくれます。分解することにより表皮膜というバリアーのようなものを形成し、外部からの刺激によるダメージを防ぐ効果があるのです。
しかし皮脂が増えすぎることによってマセラチア菌は異常繁殖してしまい、その結果分解された皮脂は肌にダメージを与え炎症を起こします。
皮脂の分泌を抑えるためには
皮脂が増えすぎる原因はいくつかあります。
- 食生活の乱れ(脂っこい食事ばかり、過度な飲酒、喫煙)
- シャンプーのしすぎやそそぎ残し
- ヘアワックスやヘアスプレーの使用しすぎ
- ストレスや睡眠不足によるホルモンバランスの乱れ
頭皮のべたつきやフケが気になる場合は皮脂の過剰分泌が起きている恐れがあります。上記に挙げた皮脂が増えすぎる原因に当てはまるものがあれば生活習慣を見直しましょう。
脂漏性皮膚炎の抜け毛は皮膚やフケの塊が付着している
抜け毛には様々な種類があります。最近抜け毛が目立つようになったからといって、自分の症状を把握することは医師でもない限り難しいですよね。
しかし脂漏性脱毛症の場合の抜け毛には特徴があるため、ある程度の判別は可能です。
脂漏性脱毛症による抜け毛の場合、毛根に皮脂やフケの塊が付着していることが多くなります。
最近頭皮にかゆみが出てきた、フケが増えてきた、頭皮に湿疹がある、という方は脂漏性皮膚炎かもしれません。
ちなみに薄毛や抜け毛で最も一般的である、AGAによる抜け毛の場合は細くて薄い抜け毛が特徴です。そのため特にフケが付いているわけでもなく、細く薄い抜け毛が多い場合はAGAを疑いましょう。
脂漏性皮膚炎の対策法
脂漏性皮膚炎を起こさないように簡単にできるおすすめな対策法は、シャンプーを洗浄力が弱いアミノ酸系に変えることです。
頭皮がスッキリするようなシャンプーは皮脂をとりすぎてしまい、余計に皮脂の分泌を増やしてしまいます。
まずはアミノ酸系シャンプーを使い、シャンプーのそそぎ残しの無いようにしっかり洗いましょう。
また他にも健康に良いものは頭皮にも良い傾向があるので、生活習慣を見直してください。
ビタミンBとCを多めに摂取する
ビタミンBの中でも特にB2とB6は皮膚の代謝を改善し、受けたダメージの回復力を高める効果があります。以下にB2やB6が多く含まれる食べ物を記載します。
ビタミンB2が多く含まれる
- 豚レバー
- ぶりやさわら
- モロヘイヤ
- 牛乳
- ほうれん草
- アーモンド
ビタミンB6が多く含まれる
- カツオやマグロ(赤身)
- 鶏ささみ、レバー
- バナナ
- 赤パプリカ
意識的にこれらの食品を多く取る、もしくはサプリで代用しましょう。
反対になるべく摂取するのを控えるべき食べ物は、コーヒーや香辛料、糖分や脂質などの肌にとって刺激となるものです。
洗顔に気を付ける
刺激の少ない石鹸で良く泡立ててから、泡でそっとなでる程度に顔を洗います。洗顔料はとても強いので、顔に押しつける必要はなく肌に触れさせる程度で十分です。
タオルでふくときも軽く顔に押し当てる程度にし、決して顔をこすらないようにしましょう。
紫外線を避ける
紫外線は皮膚にダメージを与えることがあります。紫外線が強い日中や夏場は風通しの良い帽子や日傘で日よけをしてください。
運動や睡眠をしっかりとる
睡眠不足や質の悪い睡眠が慢性化すると、成長ホルモンが十分に分泌されず髪の発育にも影響を及ぼします。22時~2時には肌の新陳代謝ターンオーバーが活発になるので、その時間帯は睡眠状態にあることが望ましいです。
また運動にはストレス削減効果がある上に、頭皮の血行が良くなるので運動不足を感じる方は習慣的に運動を取り入れましょう。ウォーキングやストレッチ等の軽い有酸素運動で十分です。
頭皮にフケや皮脂が目立ち始めたら、脂漏性脱毛症を起こす前に自分の生活習慣を見直し、できることから対策していくことが大切です。
症状を抑えるには早めに皮膚科へ
脂漏性皮膚炎による抜け毛が気になったらすぐにお近くの皮膚科を受診してください。
脂漏性皮膚炎さえ完治できれば、脂漏性脱毛症は防げます。一度症状が出ると慢性的になることが多く、自然治癒は困難です。
早期の発見であればあるほど、治療がスムーズに行くケースが多くなります。
脂漏性皮膚炎の治療方法
薬物療法が基本で軽度であれば抗真菌薬の塗り薬やミコナゾールシャンプーを使用し、重度の場合はステロイドの塗り薬を使って治療します。
また症状によっては、かゆみや炎症を抑える内服薬の抗アレルギー剤やヒスタミン剤が処方されます。
ちなみに抜け毛がひどくなってきたからといって、育毛剤を使用してしまうと逆効果になるケースもあるので気を付けましょう。
脂漏性皮膚炎にとって、頭皮に刺激を与えることは1番のマイナス要因になるからです。
同様に市販薬を用いての治療もあまりおすすめできません。
脂漏性皮膚炎の原因であるマラセチア菌を殺菌する薬も市販薬として存在はしますが、正しい治療法で行わないと副作用が出る危険もあります。
脂漏性皮膚炎は完治したら再び発毛する
正しい治療で脂漏性皮膚炎を完治すれば以前と同様に髪は生えてくるので心配する必要はありません。
また自分の生活習慣を見直して、皮脂が過剰分泌する原因を突き止めれば再発する可能性も減らせるでしょう。
一方、AGAによる薄毛や抜け毛は薄毛の進行を食い止めることは可能ですが、以前と同様に髪がふさふさになることは難しいと言われています。